Sound + Vision ★UKエンタメ 

英国発の海外ドラマ、映画、音楽などについて語ります。

ブラー『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』~究極の英国ポップアルバム

英国らしさを知りたかったらこれを聴け!


さて、ブログの一本目です。

このブログの裏テーマである、“英国らしさとは何ぞや?”について考えたとき、一番先に思いついたのが、ブラーのアルバム『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』。

モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ

モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ

 

ブラーの隠れ名作


90年代を代表するUKバンド、ブラーが1993年にリリースしたセカンド・アルバム。

ブラーといえば、94年のサード・アルバム『パークライフ』がブリットポップ及びバンドの代表作といわれていますが、私はこちらの『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』が一番好き。

いろいろな意味で、“英国らしさ”がたっぷり詰まったアルバムなのです。

1991年にファースト・アルバム『レジャー』を発表し、おマンチェ/ネオ・サイケデリックサウンドをもつ期待のニューカマーとして注目されたブラーですが、その後に行ったUSツアーの反応はさっぱり。

当時の米国はグランジ旋風真っただ中でしたからね。

そこで、彼らはバンドのアイデンティティを改めて考えます。

そして、キンクスザ・フーなど、英国伝統のプリティッシュロック、英国ポップを継承したサウンドへと方向転換。

珠玉のメロディ、遊び心たっぷりのポップなアレンジ、架空のキャラクターで英国社会やロンドンで生きる人々の風景を描く歌詞。

このアルバムには、そんな良質のUKポップがぎゅっと凝縮されています。

まあ、なんていうか、ポップソングを書かせりゃ、デーモン・アルバーンという人は天才ですね、という見本のようなアルバムなのです。


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ブラーが描くロンドンの風景


アートワークに、ロンドン地下鉄を持ってくるセンスも良かった!

ロンドン地下鉄の座席って、路線によってカラーやデザインが異なるのです。

これはディストリクトラインかな。

94年当時の地下鉄は、床が木製だったんですよね。

そんな細かいディテールに、イギリス愛をくすぐられてしまうのです。

また、フレッドペリーのポロシャツ、リーヴァイスの足元を折ってのドクターマーティンといった、スキンヘッズ~ネオモッズに通ずるファッションをいち早く取り入れていたのも彼ら。

それに古着のジャケットを合わせるのが、90年代のブラー風。

私的には、90年代のブリットポップは、とてもポジティヴなものと考えてますが、『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』は、『パークライフ』以上にブリットポップ、かつ重要なアルバムではないかと思うのです。

音もファッションもスタイルも含めて、ブラーが英国らしさをとことん追求しはじめたのが、このアルバム。

自分たちのルーツ、英国人としての誇り、英国的なものを愛する愛国主義的なスタンス。

この流れが後のクールブリタニアブリットポップといった、英国カルチャーの歴史に残る一大ムーヴメントに繋がっていったのでした。

そういう意味でも、今作は重要な役割を担うアルバムだと私は思うのです。



私とブラー


そして、このアルバムは、個人的にも思い入れがあったりします。

アルバムがリリースされたのは、1993年5月。

私は同年3月にロンドンに移り住んだのですが、ずっと憧れだったロンドン生活のなかで、楽しいながらも、ずっと不安や孤独感に悩まされていました。

そんなときに聴いた「For Tomorrow」の歌詞。

And so we hold each other tightly

しっかり手を取り合って


And hold on for tomorrow

明日に向かってがんばっていこう


ずしんと心に響きました。

ツラいことがあったときは、この歌詞を思い出しながら、耐えてましたっけ……。

そして、渡英して初めて仲良くなってイギリス人仲間がブラーの同郷コルチェスター出身で、グレアムの元カノなんかもいたりして、ブラーは縁のある存在だったのでした。

そうそう、当時ロンドンでは、Feet First、Club X、 Blow Up といったインディークラブが人気でしたが、ブラーの「Popscene」がかかると、いつも大盛り上がりでしたよ。

1994年には、アレクサンドラ・パレスで行われたブラーのライヴにも行きました。

ロンドン北部のランドマークでもあるこの場所を選んだセンスも素晴らしいですが、このときのサポート(前座)は、パルプとスーパーグラスという、素晴らしすぎるラインナップ。

まさにブリットポップの前夜祭的なイヴェントでもありました。


Blur - For Tomorrow

トラファルガー・スクエアに国会議事堂にダブルデッカ―。
こてこてにロンドンしてます。



90年代を通して、ブラーはずっと好きだったけど、6枚目のアルバム『13』以降はさっぱり聞かなくなってしまいました。

それでも2009年にハイドパークで行われた再結成ライヴは行ってしまいましたが。

やっぱり私にとってのブラーは、1枚目から5枚目で、特にブリットポップ三部作のキラキラしたポップな時代が一番好き。

あの頃の自分が抱いていた、ロンドンそしてイギリスなるものへの憧れ、未来への夢と希望というもの。

そんなものをいっぱい体現してくれたのが、ブラーの音楽だったのです。